興徳寺の情報交流

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興徳寺の情報交流-紙上法話

第84号(復刊第9号)平成21年お盆

こちらからあたまをさげる こちらからあいさつする

こちらから  坂村真民

こちらからあたまをさげる
こちらからあいさつする
こちらから手を合わせる
こちらから詫びる
こちらから声をかける
すべてこちらからすれば
争いもなく
なごやかにゆく
こちらからおーいと呼べば
あちらからもおーいとこたえ
あかん坊が泣けば
お母さんがとんでくる
すべて自然も人間も
そうできているのだ
仏さまへも
こちらから近づいてゆこう
どんなにか喜ばれることだろう

 

 父の残してくれた蔵書の中に「坂村真民」の詩集が八冊ほどあったのですが、その中でページに折り目をつけてあったところを開いたらこの詩でした。

大変解りやすい詩ですが、さて実行するとなるとどうでしょうか?
よく、仲違いをしている人達に、「仲直りしたら?」と言うと、「向こうが、一言『ゴメン』って言ってくれればそれで許す・・・」などと言います。
こちらから「ゴメン」と言えばいいのに、なかなかそれはできないみたいです。

人ごみの中で、知っている人を見かけて声をかけようかな、と思っているうちに、通りすぎてしまう。
向こうも気がつかなかっただろう・・・と思っていると、実は相手もまったく同じことを考えていたりします。

ちょっとした勇気で、お互いがイイ気持ちになれる。実はそれは、自然の原理なのです。

 日蓮聖人は、『 法華初心成仏鈔』
というお手紙の中で

籠の中の鳥なけば空飛ぶ鳥のよばれて集まるがごとし。
空とぶ鳥の集まれば籠の中の鳥も出でんとするがごとし。
口に妙法をよび奉れば我が身の仏性もよばれて必ず顕はれ給う。

と、お示しです。大意は

――籠の中の鳥が鳴けば、空を飛んでいる鳥が集まるように、空を飛ぶ鳥が集まると籠の中の鳥もその泣き声にさそわれて籠を出ようとするように、「南無妙法蓮華経」とお唱えすることによって、私達の身に備わっている仏性も顕れる――

仏教では、草も木も鳥も人間も、この世に生きるもののすべては、仏性という、仏様に成る可能性を宿していると説きます。
すべては平等で、それぞれの形で役目を果たしているに過ぎません。

上に掲げた、坂村真民さんの詩の「仏さまへもこちらから近づいてゆこう」を相手の心の中におられる仏さまへと、こちらから近づいてゆこう。
と解釈してみましょう。


【写真提供 高瀬幹雄 】