興徳寺の情報交流

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興徳寺の情報交流-紙上法話

第88号(復刊第13号)平成22春お盆

なんだってかんだって ありのまんま そのまんま

ピンチの時のお願い


『つらい時は泣けよ」って
力強くいって下さい
無理やりいいとこさがして
ほめて下さい
「あした宇治金時食べよう」
とか
ちょっと先の
未来の話をして下さい。
隣に
しみじみと話をする
かしこいおばあさんを一人
座らせて下さい
なんだってかんだって
ありのまんまそのまんま
うけてたつ
強い奴になりたいのです
勝手ながらお願いします

小林育子

 

小林育子さんは、昭和24年静岡市生まれの詩人。
直接の面識はありませんが、偶然この詩と出会い、ストレートな表現に感動して、今回紹介させていただくこととしました。。

 私たちは、人生の中で何度となく辛いこと、苦しいことを経験します。そんな時、誰かの助けが欲しい、と思う。では誰に何をして欲しいのか?
無論、状況にもよるのでしょうが、この詩はそんなときの心境をユーモラスに、的確に表現しているナと思います。立場を変えれば、今、苦しみの中にある方にどう接してあげたらいいのか?ということにもなると思います。
前にも書きましたが、つらい時に、「がんばれ!」という言葉は残酷、「泣いてイイヨ」って強く言ってあげる。泣くだけ泣かせて明日にはちょっと気分転換できるようなことを言ってあげる。傍にいて、しみじみといいお話をしてあげる・・・

日蓮聖人は、「聖人御難事」というお弟子さんに宛てたお手紙の中で
――.我等現(われらげん)には此大難(このだいなん)に値(あう)とも後生(ごしょう)には仏になりなん。設(たとえ)ば灸治(やいと)のごとし。当時(とうじ)はいたけれども後(のち)の薬(くすり)なればいたくていたからず――
 [意訳=私たちは今はこの大きな難に遭っているけれど、後には仏になります。
それは例えばお灸のようなもので、その時は痛いけど、後で体が楽になるのと同じ事ですよ]

大切なことは、苦しい状況から目をそらさず、まずは受け止める事。ごまかさないこと。いま現在の自分をしっかりと肯定する事。
私たちがいま生きているということは、仏のいのちを生きているということを、まずは感じてください。辛いことも苦しいことも、仏のいのち。 だから、その苦しいことも、仏のなかで起こっていることとして受け止めることができたら、生きるということが すっと楽になります。
ありのまんま そのまんま すべてを受け止めてみましょう。 今回の小林さんの詩、「かしこいおばあさん」を、「仏さま」と私は解釈しました。


【写真提供 高瀬幹雄】