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興徳寺の情報交流-紙上法話

第89号(復刊第14号)平成22秋彼岸

やさしさを貰ったら 心に貯金をしておくの

貯金


私ね 人から
やさしさを貰ったら
心に貯金をしておくの

さびしくなった時には
それを引き出して
元気になる

あなたも 今から
積んでおきなさい
年金より
いいわよ

柴田トヨ
詩集「くじけないで」より

 

 この詩の作者 柴田トヨさんは、明治44年、栃木市に生まれました。今年、99歳です。
81歳の時ご主人に先立たれ、以来一人暮らしを続けていますが、90歳を過ぎてから趣味の日本舞踊ができなくなって気落ちしているところを息子さんに勧められて詩を書き始めました。
以来、書き溜めてきた詩42編をまとめ、今年の3月、処女詩集「くじけないで」を出版。これが大反響を呼び、詩集としては異例の50万部を突破し、今なお売れ続けているそうです。
どの詩も飾らない言葉で、耳にやさしく、そして元気がもらえます。そんな中から、今回は「貯金」という詩を紹介いたします。

私たちは、人に何かしてあげたことは、よく覚えているけれど、してもらったことは 意外と忘れているもの。
でも、人から受けた親切、やさしい言葉、それはまさに心の財産です。

日蓮聖人のお手紙「崇峻天皇御書(ずしゅんてんのうごしょ)」の一説――
蔵(くら)の財(たから)より身の財(たから)すぐれたり、身の財より心の財(たから)第一なり
[意訳=蔵に納めてある財宝よりは、この身体(からだ)の方が大事、その身体よりも何よりも心の財(たから)が第一ですよ]――

 作者トヨさんは、ごく平凡なおばあさんです。ヘルパーさんに毎日来てもらい、医師の訪問治療を受け、毎週土曜日に、息子さんが訪ねてくれる事を楽しみに毎日を過ごしているそうです。
詩集の最後に、98年間の人生を振り返った文章があり、こんな風に締めくくられています。
・・・だからどんなにひとりぼっちでさびしくても考えるようにしています。「人生、いつだってこれから。だれにも朝はかならずやってくる」って・・・
100歳近い高齢で、尚かつこのようなみずみずしい感性を保ち続けられるのは、スナオにすべてを受け入れて、感謝の心を忘れず、いつもそれを思いだしているからでしょうか。

いいことあったら、心に貯金しましょう。そしてときどき引き出しましょう。心の貯金は減りません。


【写真提供 高瀬幹雄】