山寺の
和尚さん日記

直径2mのヒノキ

大阪の施設で暮らす 花岡美智子さんを時々訪問します。 もうじき89歳、15年前に1年間だけ富士宮市に暮らしたことがあり、法華経信仰を通してのお付き合いが今に続いています。ご主人は早くに他界、子どももできなかったので最期は私が大阪にて葬儀を勤め、お骨を興徳寺にて永代供養することを約束しました。

毎朝部屋でお経を唱え、ご先祖に対する供養とそしてまた新しい日を迎えることができたことを感謝する日々、ですが・・・「ここでの生活は何も言うことはない、スタッフさんも皆優しいし、ただただ感謝の日々や、せやけえどな、笑うことがありませんのや」と、ポツリ・・・ 《シアワセ=笑う事》と再確認し、「よっしゃ、ほんなら美智子さんを笑わせるためにたまに大阪に来るわ~」。
で、行ったついでに大阪のエネルギーと出会えることも楽しみに、道頓堀、通天閣、新世界・・・などをぶらついて来ました。

3回目の今回は念願だった奈良に行ってみることにしました。日本が世界に誇る古代木造建築をこの目で見たいとずっと思っていたのです。

【法隆寺】

最初に目指したのは「法隆寺」、中学の修学旅行以来実に61年ぶりです。
中門の左側に入口があり そこをくぐると左手に五重塔、右に金堂、それらを囲んで奥の大講堂までが回廊で繋がっています。

法隆寺の中門(ちゅうもん

入ってすぐ、回廊の柱で立ち止まってしまいました。
エンタシスと呼ばれる上下が少し細くなった丸柱が1列にズラッと並んだ様は本当に美しい、

なぜ上下を細くするのか、そこに居合わせた職員さんに聞いてみました。すると「同じ太さにすると逆に真ん中が細く見えるから」との答えが、さらに驚いたのは「原木(ヒノキ)を1/4に縦割りして4本の丸柱が作られた」との話、なぜかというと、芯を避けることによって背割れを防ぐことができるから。 確かに真ん中に芯のある柱は強度はあるけれど割れ目(背割れ)が入りやすい、昭和時代に入れ替えられた柱があったのですがそれには背割りの修復跡が・・・ それにしても、それにしてもです、4分割されてなお直径80cmの丸柱を作るということは、原木の太さは2m? ヒノキがそこまで育つには少なくとも1000年はかかるでしょう、あの時代、そのような自然林があった、ということ自体に驚きました。 そしてそれを伐るための道具、のこぎりは最低3mか? これを伐り倒すのにどれくらいの時間を要し、それを縦に4分割するのにはどのような方法が? さらにさらにこの柱は自然石の上に置かれているだけなのだけど、当然のことながら石の表面は水平ではない。それに合わせて柱の底部を削るにはどんな方法? とにかく1300年もムカシのこと、ろくな道具もないのです。もうこの入口だけで先に進めなくなるような衝撃、感動を覚えました。 いずれにしても名もなき匠たちの残した世界に誇れる遺産です。



この法隆寺に半日を費やし、翌日は早朝から「春日大社」「東大寺」「興福寺」そこから「薬師寺」と「唐招提寺」へ。 

【春日大社】

「春日大社」の朝

「春日大社」の回廊

 

【東大寺】

「東大寺」の大仏

「大仏殿」の柱、高さ48m 寄せ木造り・合成柱の技法(現在の集成材)が取り入れられている。

「正倉院」;両端は〈校倉(あぜくら)造り〉という三角断面の木の組み方

 

【薬師寺】

「薬師寺 大講堂」 平成15年に再建された

「薬師寺」の回廊

 

【唐招提寺】

「唐招提寺」  

唐招提寺の八本の柱

唐招提寺の経蔵;日本最古の校倉

「唐招提寺」に行きたかったのは正面の8本のエンタシスの柱が日本では調達できず、アフリカ・カメルーンのアパという木が使われたという話をずっと前に何かで聞いたことがあってそれを確かめに。
実際に見てみると修復の痕跡などもあり、その場でAIで調べたら唐招提寺ではなく、その前に行って来た興福寺だった。2018年に300年ぶりに再建された中金堂の母屋柱に、長さ10m、直径77㎝の36本、裳階柱には、長さ5,2m、直径62㎝の30本のアパが使われた、とのこと。 もう一度戻って、確認してきました。

【興福寺】

「興福寺・大講堂」

これがアパの木、日本のケヤキに似ているそう。

 

 

日本の伝統建築に必要な材料を外国から調達する、 しかし今後各国の森林保全法などでそれも容易ではなくなるだろう。 日本の伝統的木造建築はしっかりと補修すれば永遠に保つことができる。その為にはしっかりとした技術の継承と必要な材料の確保が不可欠です。直径1mの檜(ヒノキ)が育つのに500年、植えて育てて伐る、その500年サイクルは継続できるだろうか? 匠の技は継承できるだろうか? AIの発展や世の中のスピード感とは全く関係のない大切な世界がある。 そんなことを考えさせられた2日間でした。

膝を痛めていたのですが少し調子が良くなって、今回もほとんど休憩も取らずに歩きまくったけれど、何とか保つことができました。

もうすぐ7月、暑い夏~秋にかけてのもっとも忙しい時期が始まります。

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