山寺の
和尚さん日記

冬は必ず春となる

寒い日が続いています。
暦の上では 「大寒(だいかん)」に入り、今年も『寒行(かんぎょう)』が始まりました。



今から30年以上もムカシのことだと思いますが 私の父親と近郊のお坊さんたちが 「寒行」を行っていたそうです。
私が戻ったその年に それぞれのお寺の2代目たちで復活し、その時から参加させてもらっています。
最初はお坊さん4人で 自らの修行としてかなり長い距離を歩いておりましたが、だんだん一般の方の参加が増え、今では 毎回30人以上の方が 太鼓を叩き、大きな声で お題目(南無妙法蓮華経)を唱えながら、歩いています。

 まずは本堂で 
 皆で お経を読みます。
 
私たち僧侶の役目は まずは 事故を起こさないこと、そして太鼓の音を揃えること(これだけの数の太鼓がバラバラの音を出したら公害です)。

皆の気持ちがピタッと揃ったとき、自分の身体が大きな自然の中に溶け込んでひとつになる・・・
「あ~ これが 南無妙法蓮華経か」と 初めての『寒行』で震えるような感動を覚えました。
以来、今年で10年目、
参加される方々が それぞれの何かを感じていただけたら、と願っています。



母が 39度の熱、 息をするのも苦しげな様子、
5日前のことです。
足元もおぼつかないので 妹に手伝ってもらって 
病院に連れて行きました。 
当初疑ったインフルエンザの感染はありませんでしたが 
右肺半分に影、肺炎の疑いありとのことで 紹介状を持って 
市立病院へ。 
CT検査の結果、ナント 「横隔膜ヘルニア」 との診断。  
横隔膜に何らかの原因(もしくは生まれつき)で穴があき、腹部の臓器が胸の部分に脱出する病気、母の場合は 腸が右肺の半分まで押し上がっていました。 以前から呼吸が荒い、と感じていましたが これが原因だったとは・・・ 
また右肺に気管支炎があって これが 熱の原因のようでした。  

以来、自宅治療が続いています。
熱は下がりましたが、夜半の咳がひどく、食欲がありません。
それでも 気分を変えさせるため 食堂で一緒に食事をし
その後は 母が喜びそうな歌を たっぷりと・・
嬉しそうな顔で 手拍子を打ち、枯れてしまった声で歌ってくれる・・・ 
先天的に明るいのか、決して辛い顔を見せない、 
・・・本当に救われます。
「冬は必ず春となる」  日蓮聖人のお言葉の一節です。
 正しいことを信ずる人(この場合は法華経というお経を信ずる人)は 厳しい冬の季節を生きているようなものだけど、安心しなさい、冬は必ず春になります。 昔から聞いたことも見たこともありません、冬が秋に戻ったなんてことを・・・
この言葉がとっても好きです。
『寒行』の少しばかりの辛さも、寒風を切り裂いて バイクを走らせていることも、すべて 春の大きな喜びにつながります。


私と母の 春の日も もうすぐ。


* 一日でも結構です。 『寒行』に参加してみませんか?! 2月1日~3日は 興徳寺が スタートです。
  また 2月3日は 節分の豆まきです。 どなたでも参加は自由、お誘いあわせの上どうぞ!