山寺の
和尚さん日記

お膳お願いします

母との二人暮らしも 6年になりました。 

父は自宅から逝ったので、その日まで 母は懸命の介護をしてきました。
歩く事すらままならない父の世話は 80歳近くの身には 大変であったと思います。 
大正生まれの気丈な母は 泣き言ひとつ言わず、黙々とその使命を果たしてきたのですが、その緊張の糸がゆるんだのか、父の死後、物忘れが激しくなり・・・
病院で診察してもらったところ、医師より「りっぱな認知症です」と告げられました。 
少しばかりのショックを覚えましたが 「やっぱり・・・」 という 妙な安心感もありました。 
以来、5年が経過しましたが、 認知の症状は 平衡状態を保っています。 
前にも書きましたが、
母にとっての思い出したくない過去や 嫌な記憶はすべて消え、喜びと感謝の感情のみが残りました。
「わーウレシイ!」「おいしいね~」「うゎ~きれい!」・・・ 
そして何に対しても「ありがとうネ」「ありがたいね~」「アタシはしあわせだネ~」です。
欲はなく、怒りもなく、そして何の不安もない・・・ この世から あの世に移り行く者の 理想の姿とも思えます。




母へのメッセージは 冷蔵庫に貼った ホワイトボード。
1昨日の日曜日のボードです。

「お膳 お願いします」 
「お膳」とは 仏さまの食事のこと、 
母は 朝食後 黙って準備にとりかかります。
作りながら 話すことはいつも同じ・・・ 
「妙蓮寺(母の実家)じゃ、家の紋を入れたお膳をお寺に置いてある檀家さんがいっぱいいてさ~、そういう家の法事のときは 必ずそのお膳をつかわなくちゃならないので 大変だったよ~、 法事がいっぱい重なって お膳が足りなくなったときは 紋を後ろ向きにして 別の家に使っちゃったこともあったよ」と 楽しそうに・・・
・・・「へぇ~ッ!」と 驚いてみせることもいつも同じ。
でも認知症のおばあさんが 作るお膳は いつもながら きれい、です。

「はい できました!」と 差し出す母に
「故○○様に代わりまして 心より御礼申し上げます」 と言って うやうやしく(?)受け取ります。
いい年をした母と子が 小さなお膳を挟んで 笑い会えるとは 幸せなことです。



昨夜は 「寒行」の打ち合わせでした。 
大寒(1/21)~節分 (2/3)までの14日間, 内容的には 昨年とほぼ同じですが、 有志の方から頂く浄財は、 
柚野小学校の図書館 への寄付金と東日本大震災の義援金、それに最後の夜の節分の豆まきの実費に充てる、と決められました。 村の寺院の若いお坊さんたちですが、皆マジメで、宗教家として どう生きるべきか?を真剣に考えています。
 田舎の中華料理屋で 食事をしながらの話し合いでしたが、ノンアルコールビール、割り勘、と最後までさわやかでした。
来年の寒行、 1月21日・22日・23日は興徳寺からスタートします。  近くの方、一度 参加してみませんか? 

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