山寺の
和尚さん日記

母のこと

母、ヨシエさんが無事92才の誕生日を迎えました。
毎年、同じお店で家族でお誕生日会を開きます。




92才であることは全然理解できず、 「そんなになるわけないじゃん」 と言いますが、
「じゃ何才?」 と問えば
「70才? 80にはなんないよね~・・・ なった~?」

冷蔵庫に張り付けたボードを見て、ケラケラ笑いながら 「そんなになった~? そろそろ逝かなくっちゃね~」

「いつ逝く~? 明日?」  
「明日じゃ早いね~ もうちょっと置いてちょうだい」


朝のお勤めが終わると、母を起こします。 朝いちばんで、とにかく笑わせます。
母の横に潜り込んで 「オカアチャン、オハヨウゴザイマ~ス、朝になりました~」

 「おはようございます」
「では 朝の歌を唄いましょ~! ♪ あ~さは ど~こからく来る~かしら~ あ~の山越えて、く~も越えて~・・・」

母も一緒に歌いだし、歌い終わると 「あっちの方でも歌ってるね~」 と遠くを指さしニコニコと・・・
母にはいつも歌が聴こえているらしいのです。

着替えは、まず靴下から・・・
部屋の端で靴下を持った私が立つと、母は足を斜めに差し出します。 それを目掛けて一気に突進、一瞬でかぶせます。 続いて一気にパジャマのズボンを脱がし、闘牛士よろしくズボンをヒラヒラさせると、今度は両足を差し出す。 そこへ一気に・・・
上着は片手を差し入れて手首が出たら”握手!” 首が出たら おでことおでこをコッツン!
 おもしろいので孫に見せてやろうと、連れてきたら、さすがにやりませんでした。

母の部屋、ベッドから降りて 手すりに捕まるとそこがトイレのドア、一人でできます。 ベッドの反対側にフトンを敷いて 私が寝ています。

母は毎朝、梅干しに砂糖をまぶして食べます。 母の父親(私の祖父)の習慣でした。 

「おかあちゃん、僕かわいい?」

「ウ~ン、ムカシは可愛かったね~」

「今は?」

「だって~ カワイイなんて歳じゃないじゃん」

「オカアチャン、子どもはいくつになってもカワイイもんだってよく言うよ~」

次の日、
「おかあちゃん、ムカシは僕、かわいかった~?」

「今でもかわいいよ~ わが子はいくつになっても かわいいもんだよ~」


母が「認知症」と診断されたのが 平成21年1月のこと、もうじき10年になります。
その時、「要介護2」と認定されましたが、いまだに「要介護2」のままです。 身体能力の衰えは若干あるものの、認知症そのものはまったく進んでいないように思えます。
たしかに、いまのことはすぐ忘れます。 あの誕生日の食事会だって、お店を出て車に乗ったら、もう思い出せません。 それは見事なもの。
だけど、認知症だから、何を言ってもムダ、ということはない。 もちろん人によって差はありますが、学習能力も0ではない。
毎年、妹たちと 「今年で最後かもしれないから」 と食事会に出かけるのですが、今回は誰もそんなことを言いませんでした。
来年もまたある、ってことを皆が信じていたみたい。

11月3~4日は 鈴鹿サーキットで バイクのレース「全日本ロードレース」が開催、観戦するべく、2ケ月前にはチケット・ホテルの手配を済ませ、新しいバイクの初ツーリングをウキウキ・ワクワクと心待ちしていたのですが、葬儀にて断念! よくあることです。
今度の日曜日が「お会式」、その週末が、お檀家さんとの「バス旅行」、 すぐに「興徳寺便り」に着手して、発送したらもう暮れの「お経参り」です。
年賀はがきも届いたし、師走まで秒読み段階です。

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