山寺の
和尚さん日記

65歳

65歳になりました。
富士宮市役所介護傷害支援課からの手紙を受け取った時 「何だろう、講演の依頼かな?」 などと思いながら 開封してビックリ、ナント、私名義の 『介護保険被保険者証』 でした。

母の介護をさせてもらっている私も 
「される側」になってもよい歳となりました。
毎年、誕生日には 『七面山』に登ります。 
いつもは 一人ですが 今年は次男を連れて行きました。

25町(1町は109m、頂上は50町)を過ぎると 道は アイスバーンになり、アイゼンという鉄の爪を靴底に装着し、一歩一歩と踏みしめてゆきます。
1町ごとに 灯篭が立っていて 現在地がわかるようになっています。

登りだけで 平らな所は一切ない道です。 
30町を過ぎて 「まだ1/3も残っているのか~」 などとため息つきたくなる頃、 絶妙のタイミングで この看板が現れます。

「何で、毎年この日に登るかっていうとね、坊さんになったときの、あの新鮮な気持ちを思い出させてくれるからなんだ」
毎年、自分自身に言い聞かせていた言葉を 今年は息子に伝えました。
 
『初心』 まだ日本語が完全でない息子の胸にも この言葉はしっかりと刻まれたようです。
アイスバーンの道



敬慎院も雪の中

「お母ちゃん、今は1月でね 今日は10日だよ~」 日めくりのカレンダーを指さしながら、私が言うと,
「アレッ、ホントだ~ アンタの誕生日じゃん、オメデトウ~~」 と満面の笑顔で母が・・・
「いくつになった~?」と訊くので 「65だよ」 と答えると 「大きくなったネ~、ついこの間 産んだと思ったけどね~」  と・・・ 
「お母ちゃんが しっかりと育ててくれたお蔭で、僕も 立派なオジイチャンになることができました」 と 大笑いしました。

初孫の「慎悟」もスクスクと育ってくれているようです。
 
ケイタイの待ち受け画面に、孫の写真を張り付けて 互いに見せ合いながら「可愛い~~」を連発しあっている 若いオバアチャンたちを 微笑ましくも、冷ややかに眺めていたものですが そんな私が 送られてきた写真に そっと「シンゴッ!」 とつぶやき ウットリ、ニヤニヤ・・・  
「マサカ~?」 の展開に 少々うろたえている65歳、


「明日死んでもイイ」といつも思いながら 「30年生きたい」と思っている自分がいます。
歳を重ねるって とっても嬉しいことだ, と再確認した 65歳でした。


*お知らせ
1月20日 より 2月3日まで 恒例の 『寒行』 が行われます。 
毎晩19時より 1時間、凍てつく夜の道を 太鼓を叩き、お題目(南無妙法蓮華経)』を唱えながら歩きます。 
10年前、地元の若いお坊さんたちで始めましたが、今や 毎晩30名ほどの一般の参加者があり、村の風物詩となりました。
1月20日から4日間は 興徳寺よりスタートします。 近くの方、是非一度参加してみてください。