山寺の
和尚さん日記

友達の友達は

ブラジルの友人から　メールが入りました。
「私の友人が日本の建設現場の見学を希望しているのですが、誰かご存じの方がおりましたら　紹介していただけないでしょうか？」
来日されるのは　建設技術者で　愛知県豊田市で１週間のセミナーを受けた後どこかで・・・　ということらしい。　とりあえず
「私が引き受けます。　お寺に泊って行ってください。ちょうど寒行の最中なので　充分なおもてなしもできませんが・・・」と返事を出し、「さてどうしたもんか？」と思っていたら、後輩の時田君が　ひょっこり現れた。
彼は昨年まで国土交通省富士砂防事務所の副所長でした。
「やあ　いい所へ来た」とばかりに　話を切り出すと、その場ですべての段取りをつけてくれました。　さらにブラジルからインターネットで捜した　同じ国交省の伊豆縦貫自動車道のトンネル現場の見学も　担当者がとてもよい対応をしてくれ　予定をとりつけることができました。

お寺に２泊してもらい、２日に分けて　私がご案内します。
　と　連絡を入れたら　
「見ず知らずの方にあまり迷惑をかけたくない、と言っている」
と返事がきました。
「迷惑をかけない生き方なんてないのです。　
私の方は久しぶりのブラジレイロ（ブラジル人）に
ウキウキしているので、いっさいご心配なく」・・・
アントニオ・セルジオ；トヨタ生産方式を取り入れた　建設現場の生産・品質・工程等を管理するコンサルタント会社を経営しています。　100㎏の巨漢ですが、いかにもイタリア系ブラジル人らしい陽気さと人なつっこさで　一気に打ち解けました。

　
　友人　ミキオちゃんの家でも
　家族から大歓迎を受け、大喜び。
　奥さん　フミエさんに
　「私の妻もあなたのように　心優しく
　誰に対しても　暖かく接します。
　どうぞ　私の家にも来てください。
　妻も大変喜ぶと思います」と・・・
　「本気にしちゃおうかな～！」
　と皆で。
『伊豆縦貫自動車道』

興徳寺から車で2時間、　
伊豆縦貫自動車道の　「湯ヶ島第一トンネル」　の現場、
国交省のお役人さんたちも　施工業者の方たちも　
それはそれは　よい対応をしてくださいました。　
ポルトガル語のパンフレットまで用意してくださり、
これにはビックリしました。
　　久しぶりのトンネル現場　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　トンネルの最先端　
　　（40年前、青函トンネルで働いたことがある）　　　　　　　（岩が脆いので直接掘削している）　　
　

『富士山砂防工事』
富士山の西側山腹にある大沢崩れでは、毎年約15万立方メートルもの土砂が崩れています。この土砂はいったん中腹部に溜まったあと、大雨や雪解け水によって一気に土石流となって麓へと流出し、田畑や民家を埋めたり、下流の潤井川の河床を上昇させ、洪水を引き起こしたりすることを繰り返してきました。その土石流を止めることはできませんが、それが下流に流れないようにするため　　砂防工事が施されました。　この富士山の砂防工事はその規模・技術力の高さにおいて　世界一だそうです。

富士山の斜面に見える大きな谷が　『大沢崩れ』、　
土砂はこの川を一気に走り　富士宮市街まで達する。　

それを拡散し、エネルギーを弱めて、
土砂を貯めるための広大な施設
（工事期間が約40年です）　　
『寒行へ』　

『寒行』にも参加。
彼は　ブラジルのサンバの打楽器奏者です。
なかなか　決まっています。
『行』の後の　お茶会で　ちょっとその腕前を披露してもらいました。　（仏具を　こんなことに使っていいのか？）

皆で　お返しに　唱歌　「富士山」　を合唱。

お礼の　メールが入りました。
暖かい人々に囲まれ、まったく予想もしなかった　すばらしい時間を過ごすことができたこと、　何よりも宗教観が変わった（彼はプロテスタント）、　「シアワセ」とは、他に求めるものでなく　すでに自分の中にある、ということが解った・・・　　というような内容でした。
一緒にいる間　何度となく　「今一度言う、　本当にありがとう」　と言うので、　「あなたが喜んでくれている姿を見ている　僕の方がもっと嬉しい」　とよく話しました。　
「皆　見ず知らずの自分に何でここまでしてくれるんだろう？」　と聞くので　「友達の友達は　友達だ！」と答えました。
今朝、東京の　アントニオ・セルジオから電話が入り（今夜ブラジルに向けて飛び立つ）、「お寺に寄付したいので　口座番号を教えてくれ」と・・・　「気持ちだけで結構！」　と断りましたが　どうしても、というので　「ＹＵＮＯどんぐりの会」に　いただくことにしました。
Amigo Antonio Sergio, Ate proxima vez!　我が友、アントニオ・セルジオ、また逢う日まで！