山寺の
和尚さん日記

檜の卒塔婆

3月になりました。 
何となく 春めいてはきたものの 何となくの天候不順で 朝 出かけるとき バイクにしようか 車にしようか ちょっと迷って やっぱり バイクにするといった毎日・・・ 

私が 出家したのが 平成16年の11月、 見習い修行を始めて 翌年の春彼岸より 本格的に 檀家さんを廻り始めました。
ちょうど7年前の今頃です。 原付チャリの前にバスケットをつけて 檀家さん名簿 と ゼンリンの地図を入れ 一軒一軒 探し歩いたものです。 たどたどしい お経をあげて ご挨拶して お話して・・・ 1日10軒くらいだったでしょうか(今は 20軒以上です)。
朝、出発する時は とっても寒くて 子どもの頃 流行っていた
「少年ジェットは 今日も行く~~ツ!」 と気合を入れて、原チャリを飛ばしていた・・・
なんか 笑えますね・・・



 
檜の 間伐材で 作った 卒塔婆を 手に入れました。 
ずっと以前から 興味があって 地元の塔婆工場に 話を持ちかけたのですが 「まったく 採算に合わない」 と簡単に 断られました。 「高価になっても構わないから・・・」 と食い下がったのですが システムそのものが できていないと・・・
塔婆工場では 外国産の30cm角くらいの原木から 製材してゆくので ほとんど無駄がでない。 一方、間伐材は 直径20cmとしても 板にできるのは ほんの僅か、 勝負にならないのです。
ところが ひょんなことから 「間伐材の塔婆」をやっている方と出会って、 とにかくサンプルを持ってきてもらうと、 
これがまた 大変な代物で・・・ 
フシだらけ・・・
マ、ある程度 覚悟はしていたのだけど こんなに ヒドイとは・・・
「見たくれ悪くて 高いもの 買ってくださいなんて いい度胸!」 と 少々イヤミな ほめ言葉で 発注したのでした。
ところが 製品が 納入されて 驚いた、
とっても 美しいものだったのです。
努力のあとが 充分に感じられました。

卒塔婆の 上の部分は 「首題」 といって
 南無妙法蓮華経 の文字を書くので、
「せめて ここの部分だけは フシを入れないで・・・」 
と 頼んだのですが 
全体に ほとんど フシ もなく・・・
木目も とても美しい・・・
さすが 日本の檜 です。
おまけに 香りがとても イイ・・・
部屋中が檜の匂いで 包まれています。
少しばかりの フシは 愛嬌のうち、 これくらいを檀家さんにガマンしてもらって(もちろん ご先祖様は 怒らないと思います)、値段の高い部分をお寺で引き受ける(今までの 塔婆の 1,8倍です)。
  
この塔婆を使うことによって 厄介者の 間伐材が生きることになり、 ひいては 日本の森を育てる お手伝いをしていることになります。
実際に 書いてみると 墨のノリが 実にイイ、 今までの 輸入材とは 比べ物にもなりません。 これもまた 嬉しい誤算でした。



「檜の卒塔婆」 今月18日の 「彼岸会」で お披露目です。
(塔婆書きが メチャ遅れていて 少々あせっています)
なお これを読んでくださっている お寺様がおりましたら 
「檜の卒塔婆」、 是非 ご検討くださますよう、 私からも お願い申し上げます。