興徳寺の裏山の中腹を横断して 山道がありました。
私が子供の頃は、 その道を 山で伐りだした丸太を載せた
馬橇(うまぞり)が 行き来していたのですが・・・
いつしか 山の仕事は無くなり、 この道を通う人も無く、 放棄されたままとなりました。
雨が降れば 水の通り道となって 侵食が進み、 やがて谷となり、 50年が経過して その深さは 4メートルにもなってしまいました。
大きくえぐれた その割れ目は 地滑りを起こす原因となります。
裏山に登るたびに 谷底を覗き込んでは、心配していたのですが、 たまたま同じ班に大手ゼネコンを退職した、遠藤さんという方がいて(しかも檀家さんで)、 その方が 町内会長だった昨年、 県に治山工事の申請をしてくれました。
それが このたび認可され 先週より工事開始。
全長83.4m の 法面(のりめん)を なだらかに切り取り、 土留めをし、 谷底を上げ、流路を60cmx60cmの U字溝(プアラスチック製とか)で確保する、という計画です。
元 土木屋の私としては 現場を見ると 何となく 胸がときめく。
この程度の現場(失礼) は 工法もまったくムカシと同じで、 今の 私でも 十分やりこなせるなぁ~ などと 空想しながら 時折 見学に行きます。
工事を担当する者の 最初の現場仕事が 遣り方(やりかた)。
上の写真の 左に写っている 木の定規のようなもので、丁針(ちょうはり)ともいいますが、 これを基準にして 施工の形が決まる、大変大事なものです。
北海道に暮らした 25~30歳の頃、 2~3人の助手を連れて 新しい現場に入り、来る日も来る日も この 遣り方 の作業をしていたことを 思い出しました。
上流側から
ところがです。
土木の世界でも技術革新が進み、今では この 遣り方 が無くても 工事ができるそう。
何でも 3D化したデータを 無人のブルドーザにインプットすると 勝手に土を切り取ってゆくシステムがもう実現化しているとのこと、 信じがたい話ですが これを話してくれたのは 私の後輩で 「建設システム」という 業界最大手のオーナー経営者、栗田さん、
嘘をいう人ではないので とりあえず 信じました。
遣り方 を変えるとか 工夫するとかの レベルではなく、 遣り方 そのものが 必要ない、という時代。
無人攻撃機で ピンポイント攻撃、という時代。
それでも 暴走している原発ひとつ、 最後は 人の手で 止めるしかないのか?
田植え の終わった 田んぼ