山寺の
和尚さん日記

東北で考えたこと

「お会式」も無事終了し、翌日11/9~/12の3泊4日で、東日本大震災の被災地へと行って来ました。
メンバーはミキオちゃんこと高瀬幹雄さんと野澤和俊さんです。
震災直後からずっとボランティアに行っており、その後も定期的に通っておりましたがここ何年かは私が時間的な都合がとれず、2人が続けてくれておりました。
主たる目的は、縁ができ、その後もずっとお付き合いをしている被災者家族とお会いする事、被災地の復興状態を確認し、自分にできることは何か? を考える事、そして被災地に立って、祈る事・・・
野蒜(のびる)駅

壊滅的な打撃を受けたJR仙石線

現在は内陸側に新しいレールが敷かれ復旧しました。
被害を受けた《野蒜駅》 ホームがそのまま保存されています。

大川小学校
逃げる時間があったにもかかわらず、判断のミスで校庭にいた児童78名中74名と、校内にいた教職員11名のうち10名が津波に呑まれて死亡、
「大川小学校の悲劇」 と言われますが、悲劇、などという言葉では言い表せない、やり場のない怒りと深い悲しみ・・・・
遺族の訴訟の経過なども見守りつつ、必ず訪れる場所のひとつです。
震災当時


ここも保存か撤去かで議論が分かれたそうですが 《震災遺構》 として保存することが決定、現在、資料館の建設を含む公園造成工事がおこなわれていました。


いつものように 校舎に向かいお経をあげましたが、 死ななくてもいい幼子、教職員を死なせてしまった無念さに涙がとまりませんでした。
しっかりと真実を伝え、教訓を残す資料館となってくれることを期待します。
南三陸防災対策庁舎

ここも必ず訪れるところです。
震災当時


ここも保存か解体かで揺れ、いったんは解体が決まったものの、2,031年まで県が管理することとなりました。
現在は「震災復興祈念公園」の中に。




屋上に避難した50数名の町職員らのうち生存者10名という参事を招いた建物。
遺族の気持ちを考えれば ”解体” もわからなくはないけれど、ここは残して欲しい。
屋上の高さ12m、それに対して津波は15,5m、その高さは本物を見ることによって実感できるし(津波の想定は6mだったので防潮堤で防ぐことができるはずだった)、 最後まで職場を守り抜いた職員たちのことを語り継ぐ重要な場所だと思います。
震災伝承施設
被災地が整備され、生々しい爪痕もほとんどが撤去されてしまった現在、これから被災地を訪れる人の立ち寄り場所は、各地に建設された”伝承施設”ということになるかと思います。
高田松原津波復興記念公園 国営追悼・祈念施設

国の施設として作られただけあって、かなりのスペース、しかも入場料無料。
だけどあまり感じるものもなかった・・・
広大な敷地を整備し、芝生を植えて公園化したけどそれは何の為だろう? これから発生するメンテナンス料金だってかなりのものになるだろう、

一番がっかりしたのは、前の南三陸町震災復興祈念公園 も同じなのだけど 祈念、つまりは祈る事を目的としているにも関わらず、そこにあるのは献花台だけ(↑の写真の低い台) この台で見えない海に向かってお経を唱える気持ちになれなかった。
日本中のお坊さんが、訪れ、大きな声でお経を唱える場所が欲しい、と思いました。
気仙沼市 東日本大震災大震災・伝承館

ここはとてもヨカッタです。
向洋(こうよう)高校、の当時の校舎をそのまま展示してあります。


3階の窓を突き破って飛び込んできた車


展示に対する説明も、震災前との対比が明確でよく伝わってきました。
これから被災地を訪ねようとする方、是非!
震災遺構 中浜小学校
宮城県山元町 中浜小学校、本年9月26日にオープンしました。
90名の子どもと先生・保護者らが屋上で一晩を過ごし1人の犠牲者も出さなかった、 その現場がそのまま保存・展示されています。


その時、現場におられた先生がボランティアとして説明をして下さり、状況がよく伝わってきました。
津波が迫る中、屋上避難を決断された校長先生の決断、屋上の高さ12m、実際の津波、第3波、第4波は20mもあったそうですが第1波、第2波の引き波と沖でぶつかり崩れ、屋上のぎりぎりの高さとなって襲って来たそう、 かろうじて助かったのだそうです。
色々なケースを見ながら、生と死を隔てる運命のラインを強く感じます。
はかなくも残酷で、だけど強い何か、を感じるのです。
そして前記 向洋高校、この中浜小学校も 誰も犠牲者が出なかったので このようにせいせいと展示することが出来るのか、と改めて感じました。
東日本大震災 原子力災害 伝承館
本年9月20日開館、福島県双葉町に建設された立派な建物です。

原発反対の私から見ると、とても偏った施設であると思えました。
これ以上 ノーコメント です。

気仙沼漁港
被災者の方々とも再会しました。
あれから9年、お互いにそれぞれ年を重ねて、いろいろなことはあったけど、「よくがんばってきたね~」と笑えることが何よりものシアワセ。
そんな風に言ってもらえました。
また私にとっては、価値観を共有する友(高瀬さん、野澤さん)の存在に改めて 感謝!! です。
ありがとう、お疲れ様。
*明日12/1から暮れのお経廻り,いよいよ師走です。