山寺の
和尚さん日記

お線香 あげさせてください

12月1日より 暮のお経回りを開始しました。
1昨日~昨日は、異常とも思える暖かさでしたが、今日は寒かった・・・ 途中で雨に叩かれたりもしましたが 何とか本日のノルマを達成できました。 (お葬式で遅れた分も ほぼ取り戻しました)




檀家さんを廻る時は お線香を持参します。
それは こんなできごとがきっかけです。
今から6年前、弟の新盆の時でした。
ある弔問客を 祭壇までご案内したところ、その方が 胸のポケットから小さなお線香のケースを取り出し、手向けてくださったのです。 
初めてのことで 感心して尋ねたところ・・・ 
「お線香あげさせてください」と言っておきながら、他人のお線香を手向けるのはオカシイ、と気づいて・・・ と答えられました。
 *「お線香あげさせてください」は このあたりでの 弔問客の決まり文句です。
「ナルホド!」と 思って、それからは 私も 線香持参。 
興徳寺に仏具を納入してくれる業者さんは なかなか お商売が上手で 「いや~ 先代さん(父のことです)は イイお線香を使ってらっしゃいましたね~」 などと言うので、私も 負けずに イイお線香を使います。 
檀家さんの何人かだけですが 「いい香りですね~」 と言ってくださいます。 

「よい香り」は ほとけ様への供え物、 
そこそこの 贅沢を楽しみたいと思います。
最近 都会では 煙の出ない線香が 流行っているそうですが、
線香の煙が 建物や調度品を 汚すとはとても思えません。
静かに昇る煙は なんともいえない 味わいで
香りだけでなく 眼でも楽しめる と思うのですが・・・
檀家さんを廻る時、線香とともに欠かせないのが 犬のオヤツ、 
先代は いつも袂(たもと)に、小さなキャラメルの箱を しのばせ、
それが 子どもたちに大人気だったそうですが (当時、箱入りのキャラメルは 嬉しいプレゼントだった)、
今や 子どもの姿も消えて、歓迎してくれるのは 繋がれっぱなしの犬くらい、

オヤツで手なずけてあるので、
私のバイクを見かけたら どこの犬も ちぎれるばかりに尻尾を振って
すっ飛んで来ます。
カワイイですね。
犬のオヤツ代が 線香代と同じくらいかかりますが
これも ささやかなゼイタクのうちで・・・



* HP, 「紙上法話」 と 「住職のひとりごと」 up しました。