山寺の
和尚さん日記

形で示す

先月27日に開始した 『お盆の棚経』、暑さの中、途中で お葬式も入って その遅れを取り戻すために 少々ハードなスケジュールとなりましたが、昨日無事終了いたしました。


 
少し前のことですが、某TV局の取材を受けました。 バラエティー番組です。
「静岡県の富士・富士宮市の辺りでは 卒塔婆をスーパーで売っているそうですね~?」 こんな 電話インタビューに 私の知る限りを答えたところ、撮影協力を依頼されました。  私は 卒塔婆とは何か? を紹介できるチャンスになれば、くらいの気持ちで引き受けたのですが・・・

その当日、東京から 一行7名(ディレクターとカメラが3台、インタビュアーのお笑い芸人さん、それに助手)がやって来て、本堂でインタビューが始まりました。
「富士宮に来て 小さな卒塔婆がスーパーやコンビニで売られているのを見て、大変ビックリしたのですが、あれは一体どういうものなんでしょうか?」

「はい、あれはミニ塔婆と呼ばれています。 もともとこの地方では 新盆(にいぼん)の方のお墓に 青竹で花立(はなたて)を作って それにおみなえしの花を供える習慣があったんですが、今から30年ほど前、 竹を手に入れることがだんだん困難になってきた頃に ある業者さんが それに代わるものとして 小さな卒塔婆を 『花塔婆』 と名づけて売り出したところ、名前と日付が記入できるという その便利さが受けて、今や 新盆に限らず、お墓参りに 欠かせないものとなりました」
マ、このようなことを話したのですが 
ディレクターさんが首を傾げながら・・ 「新盆(にいぼん)って何ですか?」

卒塔婆とは何か? を含め 
私はできるだけ分かりやすく説明したつもりでしたが、
相手の狙いは 「通常 お寺で2000円~1万円する卒塔婆が  
スーパーで100円で売られている、変だね~」
というところにあるらしい・・・
お檀家さんにお願いし お墓参りしているシーンを収めたり、と3時間に及ぶロケが終了し、 
1ケ月後、放送がありました。   私のインタビューはすべてカットされていました。
スーパーで 卒塔婆がスイカの横に売られているのを見て ビックリするシーン ~ 興徳寺の墓地で お墓に供えられたミニ塔婆を見て さらに驚くシーン ~ その塔婆の裏にバーコードのシールが貼られたままになっているのを発見して 「がっかりだぜ~」 とナレーション・・・
『ご当地がっかり』シリーズ、静岡編。 という企画だったそうで こちらこそ がっかりです。

お墓に供えられた「ミニ塔婆」を見ると、
「あ~ ○○さんが来てくれたんだ」
と分かる、
そこにポッと温かいものが灯る、
そんな優しい効果があります。 
この辺りの方は 感心するほど 他所のお墓参りをします。 親戚のお墓、友人のお墓、恩師のお墓・・・ 
この「ミニ塔婆」の果たしている役割は大きいようで、何十本というミニ塔婆を購入され 一日がかりであちこちのお墓に参る方も たくさんおられます。


『陰徳を積む』ということはとても大切ですが 形で示さなければ 伝わらない、
「こんな小さな卒塔婆で ご利益あるんですか~?」 などと聞かれましたが、ご先祖様の霊と生きている方の どちらも喜ばせる、という 利益(りやく)があります。
「ミニ塔婆」は決して 変なものでも がっかり するようなものでもありません。

 
 これは ご先祖様を迎えるための 
 家の前の 花立て
 下に敷かれた草の上に 
 ソーメンなどを盛ります。
 (新盆の花立ては 
 もっと太い孟宗竹で作ります)

「富士宮と言えば 『富士宮焼きそば』、このミニ塔婆も全国に向けてヒットするといいですね~
フジノミヤヤキソバ・ミニトウバ、 何かゴロもいいですね~」
 
お笑いタレントさんのツッコミに 何とも応えようがありませんでした・・・


 いよいよ『川施餓鬼』まで あと3日、 準備に集中します。

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